『摩擦係数(まさつけいすう)』
【BGM-IN】「ロビンソン」(スピッツ)
ねずみ色の空から小雨が舞い降りてくる
車から降りて歩き始めると、歩道のいたるところに小さな水たまりができていた
雨を予想していなかった僕の足元は、ネイビーカラーの「crocs」
靴下に水が染み込んでこないように気を使いながら目的地へ向かって歩く
履き古したクロクッスの底は、摩擦係数を感じられない
「スリックタイヤ状態」
横断歩道の白線の上やカラーコンクリートの路面に差し掛かると、足元が滑り出し闊歩できなくなった
一歩一歩、慎重に進む吾輩の姿がコンビニのウィンドウに映し出されている
スケートリンクに初めて足を踏み入れた子供のような滑稽な姿に思わず失笑した
その横を時計を気にしながら急ぎ足で抜き去っていく人々
吾輩の変な歩き方を見つけて失笑する余裕は誰一人ないようだ
目の前に60階建てのノッポな建物がそびえたつ
大漁旗を掲げ「みなと」に吸い込まれていく船団に見えるのか?
掃除機に吸い込まれていくゴミのような光景に見えるのか?
人によってさまざまだろう
吾輩もこのノッポな建物に飲み込まれる時間がやってきた
警備員さんが鋭い目で人を識別している
不格好に歩く僕の姿を見て微かに笑ったはじめてのひとだ
自動ドアをすり抜けビルの中へと入って行く
一気に摩擦係数を取り戻していく僕のクロックス
手を振り!胸を張って!背筋を伸ばし!
いつも通り歩けるようになった僕の顔には自然と笑みが零れはじめた
エレベーターに乗り込むと、少しづつサンシャインに近づいていくような気がした
いつもより「笑顔」になれる時間が多かった朝のはじまり~
「シ・ア・ワ・セ」を予感するスタートが切れた朝のはじまり~
これも…、ささやかな『夢叶』
そして、今朝学んだこと…。
大好きな人との摩擦係数
適度に起こる「心の摩擦係数」を乗り越えていくと
「空気みたいな存在」になれるのかな…。
そうだ!今夜は、久々に彼女と摩擦係数を確認し合おうかな…。
愛の摩擦係数を…。
(To be continued)
昨日の本屋大賞に感化されました。
朝の出来事をちょっぴりだけど…、
小説風にしあげてみました。
ほんとうは、魅惑の歌詞とメロディーで人々を魅了し続けている「スピッツ」を意識して書き始めたつもりだったんですが…。
2013年5月15日「さらさら/僕はきっと旅に出る」以来、
3年ぶりのニューシングル「みなと」のミュージックビデオを先行公開!!ファン歓喜で夢叶なのだ!!
【BGM-IN】「みなと」(スピッツ)
折り紙、アニメーション、シャドウ、演奏シーンetc、を全編モノクロで印象的に構成されたMV。
「みなと」というタイトルと『スピッツ』の世界観を見事に融合させた作品でした。
以下は、ミュージックビデオのディレクターを務めた北山大介から寄せられたコメントだ。
みなとのミュージックビデオのお話を頂き、
初めて楽曲を聞かせていただいたときに、
浮かんだイメージが、みなとに「一人立つ人の影」と
「その上を旋回する大きな鳥」(間奏の口笛)でした。
演奏シーンはとにかくシンプルにバンドの影を格好良く撮影するため
ライトは一灯で、楽器セットもシンプルにとお願いしました。
一人一人のシルエットがしっかりと表現できたと思います。
「その上を旋回する大きな鳥」というイメージを映像化するにあたっては、
はじめは現代的にドローンを使った空撮(実写)での撮影を考えましたが、
スピッツの楽曲にドローンは何か違うような気がして、
空飛ぶ浮遊感をアニメーションで表現することにしました。
(ミーティングでその説明をメンバーの皆さんにしたところ皆さん笑って納得していました)
ジャケットの白黒写真のイメージもあり、
白黒の古いフィルムの質感で製作することにしました。
そして…。
「みなと」の歌詞。
深いですね~~。
『スピッツ』偉大だなぁ~~~。
すでに色んな人たちが謎解き!?紐解き!?を楽しんでいます。
吾輩も一言だけ…、
『別世界に行ってしまった君を感じる場所』
「摩擦係数」が「スリックタイヤ状態」でキミを感じることができない…。
どうでしょうか?
「草野正宗さま」
ステキな全国ツアーも楽しみにしております。
(エムP)